じじ日報

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皆が「だめだ」という良いアイデア

 世の中には出ないもののものすごくたくさんのアイデアを出し、何をしていくのか決めるのですが、ここに紹介するのは未来のための抗体アレーです。抗体でなくてもいろいろと考えられますが。本当は自分でやってみたいのですが、時間と環境とお金と...全てがそれを許しません。おまけに可能性についての議論を持ちかけても完全否定されてしまう始末。だからといってアイデアそのものが悪いわけではありません。

 オリジナルは、2002年に簡単な提案書のようなものを作っていたのですが、月日が経てどもいっこうに研究が出来ませんので公開します。

 ポイントは抗体はそれ自身が抗原と認めた「分子の部分」を認識するわけですが、これは免疫染色の根幹についての矛盾でもあります。すなわち、例えばあるタンパク質によって誘導された抗体はそのタンパク質の部分アミノ酸配列のうち特定の官能基や側鎖などの空間における立体的な表現を見分けているのです。ということは、部分的に同じシーケンスを持つ別のタンパク質に対しても結合する可能性が高いですし、全く異なる物質であっても同じ、あるいは、同様な官能基の表現型を持っていさえすれば反応(クロスリアクト)するわけです。決して1対1ではありませんね。

 これ自身がタブーなのかもしれないのですが、概念的にはこれに基づいてできるだけ多くの構造既知物質とクロスリアクトする抗体をスクリーニングしようとするものです。抗体はアレー化し、何を認識しているのかを追求する必要もありません。

 私達がものを食べる時、味蕾にある細胞のレセプターで食物の成分を分子として認識し、これを電気的刺激に変換し、脳で分析し堪能する。(あ〜 うまいものもうまくないな こんなこと言ってたら)単一の物質を解析するばかりでなく、極めて複雑な分子のスープを立ち所に解析し、舌に乗せた途端に「うまい」とか「まずいとか」さらには「こくがあって円やかで」などと言ったりする。(僕は言わないけどね)もしかすると何千もの各々の分子の認識現象をミリ秒程度で解析し、さらに、脳内のデータに照合し、判断し、筋肉を動かしている。本当にこのような力ずくのプロセスを行っているのかも知れません。もしそうならかなりの処理スピードです。

 しかし、私は、もしかすると異なるプロセスで迅速に解析をしている可能性があるのではないかと疑っています。将来、この疑問を解くために、知恵?を絞ってみました。もし、私の憶測が外れていた時に皆さんを巻き添えにするわけにはいきませんので、もう少し現実的な研究成果の出口に関しても考えてあります。

 

 それでは、ポンチ絵で概略を説明していきます。

 世界中の研究者がモノクローナク抗体を毎日のように使い細胞内外のタンパク質の存在の特定を行っています。抗体による染色が特定物質のみを観察していることと同義かどうかは別として、分子認識がそこでおき、私達はこの現象を利用しています。

  






 しかし、多くは「非特異吸着」の理由から廃棄されています。これらを宝の山としてどんどん抗体を収集します。前段階としては、抗体賛成細胞のバンクを作るのも良いでしょう。多くの抗体が抗原として使った多くのタンパク質のうちの共通項に対するものである可能性がありますが、そんなことはおかまい無しです。







 数万の抗体が集まったらいよいよアレーの作成です。何をどのように配置してもかまいませんが、「記録」だけは念のためにしておきましょう。

 







 一方、スクリーニングに使用する化合物ですが、こちらにも問題があります。分子に例えば蛍光標識を施す時、リンカーを結合した場所はリンカーや標識によってマスクされてしまい、仮にこの部位が認識に必要であった場合には情報を得ることができません。そればかりか誤った情報を与えてしまいます。

 この問題を解決するために、様々な部位にリンカーを導入する必要があります。極めて反応性の高い化学種、例えばカルベン種を用いてリンカーをランダム(とはいえ、反応する官能基がある場所に限られますが)に導入します。このような化合物群に蛍光標識をおこなうのですが、通常の方法では「複数の分子の集合」となってしまいますので、ここで更に一工夫。

 蛍光性のある半導体ナノ粒子が最適でしょうか。これに、先ほどのリンカー付き化合物を反応させます。当然、先ほどのリンカーは2官能性で一方は個々の分子のあちらこちらに結合していますので、もう一方の官能基を使ってビーズに導入するわけです。そうすると、あたかも1ビーズが1分子のような表現型を示すようになります。不特定位置にリンカーを持つ特定分子の混合物と1ビーズの反応であり、統計的に判断すれば単一分子を再構築できると考えられます。

 このようにして作製した分子被服ビーズを使って先の抗体アレーに片端からスクリーニングします。仮説が正しければ、複数の抗体が反応し、蛍光のシグナルを与えてくれることとなります。ここからは、データマイニングに徹することとなります。その後、「十分なデータ」収集ができたら、「経験」の完了し、いよいよ経験の有効性を確かめる段階です。

  

 未知の医薬品や農薬候補物質を先ほどの抗体アレーでスクリーニングします。類似する蛍光レスポンスのパターンをデータベースに参照し類似する物質群を検索します。単一の分子が返されるとは限りません。これは、抗体が分子の一部と反応しているためで似て非なるものが多く存在する可能性があります。理解しにくいので、このように言い換えることができるでしょう。「この医薬品候補は、薬効は期待できるが毒性も高い可能性がある。」これは、機能発言する官能基の特徴を持っているとともに、毒性を示す官能基をも有するという意味で、各々の情報が別々の分子から提供されデータベースにマイニングされていたことを意味します。


 全てが仮定に基づいていますので、やってみなければ何も分からないのですが、実験動物を極力減らすことに大きく貢献すると考えられます。その他にも非常に多くの利用が簡単に考えられます。また、さらに、この考え方は、必ずしも抗体にのみ適応可能なわけではなく、ありとあらゆるカテゴリーの分子に適応できます。


 10年まえのプロポーザルですが、今から5年してまだ誰もやっていなかったら死ぬ前にやってみようかな。



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